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201611/7

ハリケーン・アンドリュー

前回の記事はこちらです。この記事は「そのハミングは7」の製作ノートです。

にじのです。みなさんこんばんは!

さて、トビーのこの物語は1992年フロリダから始まります。

トビーたちレーベンシュタイン一家は、シカゴに住んでいますが、大学教授である父エドモンドの学会参加に合わせて休みをとり、休暇でフロリダ・オーランドを訪れます。ここで黒いネズミのいる巨大テーマパーク(ディズニーランドですね)に行った後、キャンピングカーを借りて一家は一路南へ向かいます。

興味ある人いるかな?ちょろっとフロリダの地図を。

hurorida.jpg

ディズニーがあるのは、オーランドのちょっと西側です。

トビーたちが目指すのは、フロリダ南端のエバーグレーズ国立公園。レンタカーを借りてえっちらおっちら。うすいオレンジ色に見えているところがハイウェイなので、マイアミによれる感じのルートをとりながら結構時間のかかるコースです。

everglades.jpg

ホームステッドを経由して、国道9336を通り、エバーグレーズを目指します。この途中でトビーたちはハリケーンに遭遇したことになっています。

さてこの1992年8月のハリケーンとは、ハリケーン・アンドリューのことです。カテゴリ―5を記録したハリケーンは、1999年代までにアンドリューを含めて3つしかありません。上陸時の中心気圧は922hpaで、54人の直接死者を出しました。この被害は、当時のアメリカで最大のものだったと記録されています。

命はとりとめたトビーたちでしたが、気づけばトビーはシカゴの病院に収容されていて、包帯グルグルの状態です。そして失明を告げられます。

ハリケーンに奪われた光。その瞬間、キャンピングカーの中でラジオから流れていた音楽は、皮肉にもアメージンググレースでした。

 Amazing grace! How sweet the sound
 (驚くべき恵み なんと甘美な響きよ)

 That saved a wretch like me!
 (私のように悲惨な者を救って下さった)

 I once was lost but now I am found
 (かつては迷ったが、今は見つけられ)

 Was blind, but now I see.
 (かつては盲目であったが、今は見える)

――Ameazing grace.(讃美歌)

”かつては盲目であったが、今は見える”

トビーは9歳でした。突然光を失った少年は、どうなるのでしょう。ぶつける先のない怒りと、苛立ちに支配され、ハリケーンは去っても、その蠢く黒い魔物の闇にトビーは取りつかれたままとなってしまいます。

次へ続きます。


トビーの物語はこちらで読んでいただくことができます。

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