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最後の一文。

詰まっています。ので、脱線に参りました。だめだあ……。ってのはおいておいて。昨日今日と友人らと話すなかで、偶然にも同じ話題が上ったので《羅生門の最後の一行について》ちょっと書きに来ました。

「下人の行方は、誰も知らない。」

というこの有名すぎる一行に、はじめて出会ったのはいつやろか。10代であったことは間違いありません。印象的でいかにも良いと心に残る一文で、この手法は高校にあがったあとの現代国語の作文でよく使いましたし、先生にも褒められました。実はつい最近に至るまで、自分の作品の結末を見返すとこの類似パターンが相当数あることに気づいて、今ひじょう~~~に萎えています……。

話が戻りますが、この最後の一文は『羅生門』が最初に発表された『帝国文学』においては

「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった。」

となっていたそうです。それを後に、芥川自ら書き加えたのだとか。

教科書にも載るくらいですからこれに異を唱える人はほとんどいないような気がします。そしてこれにはっきりモノ申しているのが、河野多恵子氏です。

河野多恵子さんは『小説の秘密をめぐる十二章』の中で、この一文はまさに駄文で要らないと言っています。詳しくは本著を読んでみていただければと思いますが。

前提条件として、河野多恵子さんはまさに純文学に一生を費やしてこられた方で、その他のジャンルの文章について明言しているものではありません。

なぜこの話題の森に私が迷い込んでいるかというと、応募する先の求めるカラーというものにどれほど添わせるかという問題に直面しているからです。これが沼か、とまさに。

理想と情熱では提出先を考えず、まずはとにかく書きたい事を命をかけて書ききれ! そのうえでどうにかしろ、と内側の自分が喉が切れるほどつねに絶叫していますが、河野氏も『みいら採り猟奇譚』を仕上げるのに十年近くかかったと書いているように、長編に魂を込めるのは年単位の所業だと最近とみに身に染みています。でも、気力を保つには、小さな成果を積み重ねないと、続けるモチベーションを失ってしまいます。

そのあたりのバランスを保つのが非常に難しくて、あたまがどろどろになっています。

そのくらいで。

ノラン。

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