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「他力本願」の本質

こんにちは。にじのです。

今日はおばあちゃんの三回忌でした。読経を聴きながら、唱和しながら、思い出していた言葉があります。

「わしはおまえがすきだで、おまえがかなしいと、わしまでかなしくなってまうがや」

ばあちゃんちは、わたしのホームでした。

今日ね、ふしぎなことに、流れたなみだのすべてが、床へ落ちずに、くちびるに流れ込みました。なみだって、ポタポタとほおを伝って、ポタポタとゆかに落ちるものだと、思っていた。

ずっとそうだった。そうだったはず。

今日ね、なぜかわたしのなみだは床へおちずに、右のなみだも、左のなみだも、くちびるにそそがれていきました。あふれてくるなにかあたたかい気持ちが、ろ過されて、ふたたび自らに注ぎこまれていく感覚におそわれた。赤い和ろうそくに燈るほのおが、天に昇るようにおおきく揺らめいていました。

上へ……上へ……

一周忌で、住職さまがこうおっしゃった。「こうして法事でわたしたちが集まれることが、まことになくなった方がもたらしてくださる縁である」――と。

「他力本願」

キリスト教における「三位一体」ということばと同じに、この「他力本願」ということばも、多くは誤解されています。「自力本願」がよいことで、「他力本願」とは、”他人任せで努力しないで流れにまかせること”だとわたしたちの多くがあやまって認識しているのです。

仏教(とくに浄土真宗)では、他力本願とは――ほとけさまが与えてくださる、わたしたちへの機会、そして悟りへの道しるべ。願い(悟り)は自分で叶えているものではなく、導かれているのだと、そういうことを言っています。

一応補足しておくと、これは自力本願を否定するものではありません。自力本願とは、自らの力で切り開こうとすること、悟りの境地を”目指す”ことです。しかしながら、自分一人の力のみで”悟りを開く”、また、なにかを叶えようとすることは、不可能に近いほど難しいことなのだと”知る”こと。まさにここが、他力本願の本質です。感謝せよと。

わたしたちは生かされている、というと大げさに聞こえるかもしれませんが、自分一人の力では、けっして生きていないのだと。

おつとめの同朋唱和勤行集の巻末で紹介されていたことばをお借りして、今日はおわります。

一枚の紙に雲を見る

もし、あなたが詩人であるならば、この一枚の紙の中に雲が浮かんでいることを、はっきりとみるでしょう。雲なしには、水がありません。水なしには、樹が育ちません。そして、樹々なしには紙ができません。ですから、この紙の中に、雲があります。この一ページの存在は、雲の存在に依存しています。紙と雲は、極めて近いものです。……この小さな一枚の紙の存在が、宇宙全体の存在を表しています。

『ビーイング・ピース』 ティク・ナット・ハン ベトナム生まれ。(1926-)僧侶 フランス在住

みなさんありがとうございました!
ほんとうに、ありがとうございます!

みなさまに、すてきな毎日がとどきますように!

nijino noran.

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