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まだ寒い。でも歩き続ければあたたかい。
ポスト投函に外へ出た。
裸足にサンダルを履いて、さすがに寒い。
だから走った。スロージョグ的に。ほんの数分くらいだけれど。
二年前のちょうどこの頃か、はじめての応募原稿を郵便局までもっていったとき、帰り道に自転車でみあげた空が、とても、とても青かったことを憶えている。
あたらしい季節だ――わたしはそう思った。
去年のちょうどこの頃か、ある夜に、わたしは誰もいない暗闇のなか、ひっそりと桜の咲き乱れる深夜の公園を歩いた。そして、桜の合間からのぞく、街灯という名の月をみあげていた。
今日、同じ公園をあるいた。桜は咲き、子どもたちが走っていた。まだかわいらしいコートを着込んだまま、ミニスカートをはいて、笑顔で走っていた。
お母さん、そろそろもこもこのコートは、元気にあそぶには暑いだろうに。
視界には、街路にしっかりと咲く白い花と青い花と青い緑と、
視界には、桜の太い木の幹と、
ころがった、黄色いボールが。
そんな中をくぐりぬけてたどりつく共同玄関は、オートロックの外れる時間。
とりとめもなく。