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すこしくらいは、人生酔っていたい。

しらふでは、つらいのです。わたわたしているなあと、自分でもわかります。つらいです。

病気をしてから頭がぼうっとするようになりました。明晰すぎて見たくないものまで見えてしまう、そんなクリアだったわたしの脳みそはどこかへ行ってしまいました。

だけど、幸か不幸か(幸なのでしょう)、少しずつわたしは立ち直りつつあります。それを感じます。でも、追いつきません。気持ちが。追いつきません、身体が。

見ている人には伝わることもわかっています。痛々しいなあと。だからこそ、なにか放っておけない、心配だ、という情も湧かせてしまうことを。

少しくらいは、人生酔っていたいのです。楽なのです。ご機嫌で、失言しても笑い飛ばせるくらいの、精神状態でいたいのです。でも、そんなことをすれば、結局反動がくるのです。そんなに世の中うまくはいきません。ずっと酔い続けていることなんてできないんです。

愛媛の伸進館さんとのご縁で、哲学者・宮野真生子さんと、人類学者・磯野真穂との往復書簡が本になった『急に具合が悪くなる』を読んでいます。宮野真生子さんのことを知らなかったのですが、共感するところがあまりに多くありました。わたしがこの頃ずっと考えていた、「偶然と必然」のことについても、おふたりは多く言葉を重ねています。

出逢いが、必然であるとか、偶然であるとか。

必然が積み重なった先に、偶然があって、であればその偶然も必然であるとか。

そういう整理の仕方は、生きる上ではとどのつまり、どうでもいいのですが、それでも人は考えます。運命を。

どんなにスピリチュアルを否定する人であっても、必然性という言葉を、論理だけでまとめ上げることができるでしょうか。

人生という川の流れの中で、障害物を回避して、好ましい方を目指し、その繰り返されてきた分岐の行き着く先に、その人の終着点があることは事実で。

ああ、あのとき大きな岩があったから、わたしは右の道を選ぶしかなかったのだよなあ。

そんなことを思うのです。

とりとめもなく。

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